もう騙されない!ファクトフルネス10の本能

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2019年のヒット作をなぜ今?

現在、新型コロナウイルスの誤情報や経済破綻など「人々の恐怖を煽るようなニュース」が浸透し、社会全体として以前より悲観的な雰囲気が溢れるようになりました。

しかし、その多くは人々の関心を集めるために極端な表現で誇張されるものが多いです。

今回紹介するファクトフルネスは「データを通して正しく世界を理解し、これからの行動を変えていこうよ」という一冊で、メディアの情報に振り回されないための具体的な対策がまとまっています。

私たちは普段SNSやYoutubeなどを通して、既に誰かがまとめた意見に共感し、それを”自分の考え”として無意識のうちに採用しがちです。

本書では「多くの有識者が実は世界について何も知らないことを痛烈に示し、人間が潜在的に持つ10の本能を抑えよう」というテーマで、全て筆者の実体験をベースにしているので説得力があります。

10の潜在的本能

分断本能

分断本能とは「世界は分断されているという思い込み」のこと。

私たちは「金持ち/貧乏」「先進国/途上国」という区別をすることで、そこに埋まることのない溝があると勘違いしがちです。

確かに50年前まではこのような法則が適応できました。

こちらの画像で示すような「生存率と子どもの数の関係」では途上国と先進国では明らかな分断があり、生活レベルが大きく異なることが分かります。

しかしこれは50年前(1965年)の世界地図で、2017年になると以下のようになります。

世界では少人数家族が当たり前になり、インドや中国を含むほとんどの国で命を落とす子どもの数は激減しました。

変わったのは家族構成や生存率だけでなく、所得・観光客の数・民主化の度合い・教育・医療・電気へのアクセスにおいても、世界が分断されていたのは過去の話なのです。

こちらのサイトでは縦軸と横軸を、平均寿命/教育レベル/電気の供給など数十種類の指標でカスタムして「世界の状況とその推移」をバブルチャートで確認することができます。

Gapminder Tools
Animated global statistics that everyone can understand

また、こちらのサイトでは世界の所得水準に合わせた数十種類の生活レベルを「全て画像付き」で分かりやすく示してくれています。

Dollar Street - photos as data to kill country stereotypes
Imagine the world as a street. Everyone lives on Dollar Street. The poorest to the left and the richest on the right. Every else live somewhere in between. Wher...

これは何も世界という大きなスケールに限った話ではありません。

少し考えただけでも

  • ビジネスで「富裕層/貧困層」で分断してしまい、多くの中間層のニーズに気づけない。
  • 世の中はキャッシュレス派と現金派のどちらかに偏っているという思い込み。
  • 宗教や出身国で人柄を判断してしまい、無意識に相手を傷つけた行動をとってしまう。
  • 学歴で人を判断してしまい、その人を過少/過剰に判断してしまう。

などが挙げられます。

この分断本能を抑えメディアの過剰な煽りに流されないためには「大半の人がどこにいるかを探し、極端な数値(最大・最小)の比較に気を付ける」ということが大切になります。

ネガティブ本能

ネガティブ本能とは「世界はどんどん悪くなっているという思い込み」のこと。

人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に反応しやすいという傾向があり、TVは「新型コロナで飲食店が閉鎖、諸外国のテロ、芸能人の不倫疑惑」などネガティブな報道をすることで視聴率を稼いでいます。

※もちろんポジティブなニュースもありますが、報道されたニュースと同程度の良いことが起こったとしてもニュースで報道されることは少ないです例えば「新型コロナの死者数が累計1万人を超えた」というニュースは報道されても、「インフルエンザで死亡する患者の数が1万人減った」というニュースは報道されません。

なぜこのような偏った報道をするかというと「良いニュースは基本的に退屈で、それを報道しようものなら他の局に視聴率を奪われてしまう」からです。

良いニュースの具体例としては、

  • 極度の貧困にある人の割合が過去20年で約半分になった。
  • HIV感染者が過去20年で約半分以下になった。
  • 世界の平均寿命は70歳を超えている。
  • 電気・ガス・水道が使える人の増加。

などが挙げられます。

私の地元である宮古島でも、コロナで観光バブルが弾けたとの報道が続いてますが、それでも今年全体で見れば前年比+17.41%で、全国3位の成長率となっています参考

そして私の住む東京都では飲食店で月に50万円支給参考されたり、私の友人はバイト先から月3万円が支給されコロナ前よりも貰っているという人もいました。

このように私たちの周りでは拡散されるべきポジティブなニュースもあるのですが、それは中々報道されないという現状があります。

ネガティブ本能を抑え悲観的にならないためには「悪いニュースの方が広まりやすく、メディアはそれを活用している」ことを理解することが大切です。

※またここでは割愛しましたが、「人々は過去を美化したり、国家は歴史を美化する傾向がある」「状況がまだまだ悪いときに、”以前に比べたら良くなっている”と言い出しにくい空気がある」ことも押さえておきましょう。詳しくは本書で詳しく解説されています。

直線本能

直線本能とは「グラフは真っ直ぐになるという思い込み」のこと。

これは本書で出されたクイズの1つで、国連が予想する将来の子どもの数を選べという問題です。

正解は「C」

前述したとおり、世界の出生率は増加し女性一人当たりの子どもの数も減少してきています。

このグラフに関する国連の予測は、これから子どもは増えないだろうという”想像”ではなく「実際に子どもの数は横ばいになっている」という事実から計算されているのです。

※女性一人当たりの子どもの数が減少する理由は「性教育の進歩」と「避妊具の普及」だと言われています。

この問題はダボス会議に参加した各国の代表でも約26%しか正解できず、ハンスさんは「これでは持続可能性について正しく議論することなどできない」と警鐘を鳴らしています。

2020年7月には国連が再び人口予測を刷新し、2100年の人口は当初の予測から21億人少ない「88億人」になるとのことです参考

確かにコロナウイルスの件に関しても、8月までは国内感染者数が増加し続け8/3には「1998人」となりましたが、蓋を開けてみると9/1で「527人」にまで減少しており、当初の直線的な予測を大幅に下回っています。

この直線本能を抑えるには「グラフは真っ直ぐになるだろうという思い込みを捨てること」が大切です。

※またここでは割愛しましたが、その国が裕福になるにつれて「寿命・学校教育の年数・初婚年齢は直線的に増加する」「所得・交通費・CO2排出量は指数関数的に急増する」、中間レベルの国の方が貧困/裕福な国より「虫歯・交通/水難事故による死者数が多い」ことも押さえておきましょう。詳しくは本書で詳しく解説されています。

恐怖本能

恐怖本能とは「危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み」のこと。

例えば、東日本大震災の際には約1600人が避難後に亡くなったが、ほとんどが高齢者でその死因は被曝によるものではなく、避難の影響で体調を崩したり積み重なったストレスによるものでした。

つまりこれらの原因は被爆ではなく、被爆を恐れての避難によるもので、一種の恐怖本能の暴走によるものだったのです。

他にも、人々が化学物質を過度に恐れてしまっているという例も挙げられています(世界規模で厳格なルールが定められており安全であるにも関わらず…

※人々が化学物質を恐れるきっかけは「DTT事件」だと言われています。DDTは強力な殺虫剤で、有害な生物を駆除することに成功したが、食物連鎖により人の体内に有害物質が蓄積されたというもの。その事件をきっかけに世界規模で厳格なルールが設定されました。

現代の例では「飛行機は密だからコロナが感染しやすいという誤解」が挙げられます。

単純に考えると飛行機は閉鎖的なのでウイルスが蔓延しやすいと思いがちですが、実際には2〜3分おきに空気を入れ替えており「地上の建物よりも遥かに安全」なのです参考

この恐怖本能を抑えるには「恐ろしいものには自然と目がいってしまう」ことを理解し、メディアの情報だけでなく自分自身も無意識に恐れていないかということが大切になります。

※人は恐怖でパニックになると冷静な判断ができなくなるので、パニックが収まるまで大事な判断は控えるようにしましょう。

過大視本能

過大視本能とは「目の前の数字が一番重要だという思い込み」のこと。

例えば、2016年に年間約420万人の赤ちゃん(0歳未満)が亡くなったというニュースを聞くと、えぇそんなに多いの!とつい反応してしまいがちです。

420万人という数字が大きいのは事実ですが、赤ちゃんは年間1億4000万人も誕生していること、1950年では毎年1440万人の赤ちゃんが命を落としていたことを考えると極めて少ない数値になったことがわかります。

またCO2排出量で中国やインドのような新興国が槍玉に挙げられますが、一人あたりの排出量では「アメリカ:15.8トン、日本:9.02トン、中国:6.81トン」となり、アメリカや日本が問題だったのです参考

この過大視本能を抑えるには「その数を比較したり割り算したりする」ことが大切になります。

例えば、連日報道されるコロナ関連のニュースでは以下のような問いかけをしてみましょう。

  • 重症化患者の年代は?
  • 検査数に対する感染者数推移は?
  • 他国と比較するとどうなっている?
  • 他の病気による死亡者は減ってないか?

※特にこの過大視本能は、慈善活動で利用される傾向にあるとのことです。

パターン化本能

パターン化本能とは「ひとつの例が全てに当てはまるという思い込み」のこと。

私の場合、宮古島出身という理由で「島にコンビニあるの?毎日海行ってるの?ネット繋がるの?」という質問をされたことがあります。

これはTVで放送される宮古島が「綺麗なビーチと満天の星空」の一コマしか報道されないことが原因で、東京の人達がこのような質問をしてしまうのも仕方のないことです。

先ほどの質問に答えると、宮古島には22のファミマがあるだけでなく「吉野家・ドンキ・マクドナルド・TSUTAYA…etc」もあります。

また島の人は年に数回しか海にいきません。理由は、いつでも行けるので特別感がないということと、海が危ない場所であることを身を以て実感しているからです。

ネットに関しても、各家庭でしっかりWi-Fiも完備されている他、ほとんどのエリアで4G回線も使えます。

このパターン化本能を抑えるには「ひとつのパターンを根拠に判断されていたらそれを疑うこと」が大切です。

※この章で書かれたハンスさんの体験談の中で印象的だったのは、所得レベル中間層の国で「病院の壁にペンキを塗らないのは塗装費がないからではなく、金持ちを遠ざけ高度な診察を行わずに、限られた資源で多くの人の治療を効率的に回すため」「エレベーターに自動検知システムがなく、学生がギリギリで乗って怪我をしたこと」でした。

宿命本能

宿命本能とは「全てはあらかじめ決まっているという思い込み」のこと。

これは宗教、文化、性別、肌の色などでその人を判断してしまうステレオタイプな方々を指します。

例えば今でも多くの人は

  • アフリカ諸国が西洋に追いつくはずがない。
  • 宗教の違いで子どもの数に差があるはずだ。
  • イランはアメリカよりも一人当たり子どもの数が多い。
  • スウェーデンは完全な社会主義国である。

と思っているが、これらは全て誤解であるとハンスさんはいう。

現在のアフリカの成長速度は凄まじいし、中国や韓国を見ても数十年前までは考えられなかったほどに発展しています。

そして宗教の違いで子どもの数に差はないし、女性一人あたり子どもの数で言えばアメリカ(1.9人)より中東のイラン(1.6人)の方が少ないし、スウェーデンでも利益を争う大胆な資本主義の実験が行われいるのです。

この宿命本能を抑えるには「ゆっくりとした変化を捉え上から目線の考えを捨てることで、定期的に知のアップデートを行う」ことが大切になります。

単純化本能

単純化本能とは「世界はひとつの切り口で理解できるという思い込み」のこと。

例えば、キューバは中央政府に依存した結果経済の成長が鈍化したものの国民は健康だし、アメリカは市場に依存した結果GDPに占める医療費が世界で一番高く貧しい人は簡単な治療でさえ受けることができない、という現状があります。

しかしこの事実から民間と政府のどちらかが良いか議論するのはナンセンスで、二者択一の中に答えがあるのではなくケースバイケースで規制と自由の間にちょうど良いバランスを見つけることが大事です。

今のコロナ情勢に関しても「大学は授業を全てリモートにし価格を抑えるべき」「学問を追求するために対面授業に振り切るべき」などというように極端な議論をするのではなく、それぞれの良いところを取り入れながら最適解を探す必要があります。

この単純化本能を抑えるには「ひとつの視点では世界を観察できないことを知り、単純なものの見方には注意する」ことが大切です。

※ここでは紹介できませんでしたが、個人的には「数字が全てではない」ことを示す例で、モザンビークの首相が毎年行われる祭りで市民の足元を見るという話が面白かったので、ぜひ本書を手に取り読んでほしいです。

犯人探し本能

犯人探し本能とは「誰かを責めれば物事は解決するという思い込み」のこと。

具体例として、2015年に救命ボートでヨーロッパに向かおうとした4000人の難民が死亡した事故が挙げられます。

この事件の犯人は残酷で欲深い密輸業者であったのですが、この4000人の難民は飛行機代の20倍もする費用を払ってまでこの悪徳業者に命を預けました。

理由は、EUで制定された条約によりビザを持たない乗客が飛行機に搭乗できなくなり、さらにボートで到着したとしてもそれが没収されるので悪徳業者はボロボロのボムボートを供給したというわけです。

つまり、ここで悪徳業者を成敗しても「仕組みが変わらない限り事件は再び起こる」ことになります。

この犯人探し本能を抑えるには「物事がうまくいかないときに誰かを責めるのではなく、その状況を生み出した複雑なシステムに目を向ける」ことが大切です。

焦り本能

焦り本能とは「今すぐ手を打たないと大変なことになるという思い込み」のこと。

本書ではハンスさんが、焦り本能により人命に関わる大失敗をしてしまったということや、最悪のシナリオから人々を焦らせてしまう政治家や活動家の例が挙げられています。

この章では他の章よりもかなり力を入れて書かれているので詳細は本書で確認していただきたいです。

また、特に判断を誤ってはいけない5つのグローバルなリスクとして「感染症の世界的な流行・金融危機・第三次世界大戦・地球温暖化・極度の貧困」が挙げられ、数年前に書かれた本書の内容が全て現実世界で起こりつつあります。

私たちの身近な例でいうと「新型コロナウイルス用のワクチンの導入」が挙げられ、世界中がワクチンを望むあまり、通常の製薬プロセスが割愛されようとしたり、根拠が十分だとは言えない論文が次々に発表されているのです。

中にはロシアのように強行にワクチンの利用を認めた国もありますが、今後それがどうなるかはまだ分かりません。

ただハンスさんがもしご存命であれば「大胆な対策を取らずに地道に効果を測定しながら効果を測定すべきだ」ということでしょう。

他にもこの焦り本能を抑える手段として「深呼吸をし、データにこだわることで、自分の焦りに気づくこと」が大切です。

まとめ

この不安定な社会情勢の中、この本は私に「世界をどう捉えるべきか」ということを多くの実例を通して学ばせてくれました。

本書全体を通して「データを通し自分の頭で物事を考え続けることで、正しい行動や判断ができるようになる」ということを伝えたかったのではないかなと思います。

繰り返し強調されていたのは「人は物事をドラマチックに捉えがちで、世界を変えるような緩やかな変化には目を向けようとしない」ということでした。

今後数年間は厳しい世の中になることが予想されますが、明るいニュースをみんなで歓迎して、また穏やかに笑い合えるような日常がくることを願っています。

最後まで目を通していただきありがとうございました。

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