世界大学ランキング日本版とは
世界大学ランキング日本版とは「The Times Higher Education (THE) とベネッセが共同作成したランキング」のことで、THEが提供する公式の世界大学ランキングとは指標も目的も全く別物です。
試しに、両ランキングのTOP5を比較して見ましょう。
「THEのランキングと日本版では順位が異なる」ということをお分かり頂けたでしょうか。
以下で、指標と目的の違いについてみていきます。
公式と日本版ランキングの「指標」と「目的」の違い
世界大学ランキング公式(THE)の指標
(出典:The Times Higher Education)
「教育」30%
・研究者間での大学の評判(15%)
・学生あたり教員数(4.5%)
・博士号取得者率(2.25%)
・学部生あたり博士号取得者率(6%)
・教育事業収入(2.25%)
「研究」30%
・研究者間での大学内研究の評判(18%)
・研究事業収入(6%)
・論文数(6%)
「論文引用数」30%
「国際観」7.5%
・留学生数比率(2.5%)
・外国人教員率(2.5%)
・国際共同研究(2.5%)
「特許収入」2.5%
世界大学ランキング日本版の指標
(出典:THE 世界大学ランキング 日本版)
「教育リソース」34%
・学生一人あたりの資金(8%)
・学生一人あたりの教員比率(8%)
・学生一人あたりの論文数(7%)
・大学合格者の学力(6%)
・教員一人あたりの競争的資金獲得数(5%)
「教育充実度」30%
・教員と学生の交流及び協働学習の機会(6%)-学生調査
・指導の充実度(6%)-学生調査
・大学推奨度(6%)-学生調査
・グローバル育成人材の重視(6%)-高校教員の評判調査
・入学後の能力伸長(6%)-高校教員の評判調査
「教育成果」16%
・企業人事の評判調査(8%)
・研究者の評判調査(8%)
「国際性」20%
・外国人生比率(5%)
・外国人教員比率(5%)
・日本人学生の留学比率(5%)
・外国語で行われている講座の比率(5%)
公式と日本版では、指標・調査方法が完全に違う
指標に関しては公式が「教育(30%)、研究(30%)、論文引用数(30%)」が大きな割合を占めるのに対し、日本版では「教育リソース(34%)、教育充実度(30%)」に比重がかかっています。
つまり「公式(THE)は研究中心で、日本版は教育中心の評価」です。
さらに調査方法に関して、公式では論文引用数・事業収入など「客観的な指標が多い」のに対し、日本版では学生調査・高校教員の評判調査など「主観的な要素が強い」という特徴があります。
※日本版では評判調査の項目が全体の46%を占める。
その上、日本版では評判調査の方法もブラックボックス化されており、信頼できるランキングとはいえないという声もあります。
いずれにせよ公式とは全く別物で例えば「帝京大学、近畿大学」は公式のランキングで上位を占めていますが、日本版だとかなり順位が低いです。
日本版では評価の大半が評判調査なので、必然的に有名大学が上位に来ます。
世界大学ランキング日本版の意義
これまで日本版が公式とは全く異なることを示してきましたが、それは日本版が無意味なものと言いたいわけではありません。
世界大学ランキング日本版でも語られているように、 これは「教育力の高さを国内外へ伝える」ことが目的です。
私は今回の結果で「東北大が東大を抑えて首位に立った」ということはとてもポジティブな意味を持つと思っています。
日本では受験生が大学を選ぶ際に「偏差値」がよく使われますが、この偏差値の高さは必ずしも質の高い教育を担保するものではありません。
実際、私が在籍する慶應でも比較的偏差値は高いのですが、そこまで教育の質は高くない気がします。
日本版ランキングで評判調査に重きが置かれているということは、大学生や教員の「生の声」を参考にし、受験生が偏差値以外の切り口からその大学を判断できることを意味するのです。
今後この日本版ランキングが一般の人にも浸透するのか、はたまたあまり関心がないまま消えていくのか、見ものですね!ではまたッ👋